上腹部のしこり
上腹部に触れるものなら胃がん、膵がん、肝がんなどがあります。胃がんでこぶが触れる程度になると、だるさや貧血など、ほかの症状も出るのがふつうですが、肝がん、膵がんでは、初期症状があまりあらわれません。しこりの触れるようながんは、かなり進んだものです。
右上腹部のしこり
右上腹部のこぶは肝臓、胆嚢、結腸、腎臓などのがんである可能性が高く、胆嚢がはれてこぶとして触れるものは、痛みや黄疸があるのがふつうです。
高齢者では痛みもなく胆嚢がはれることがあります。膵臓のこぶで、かつて受けた外傷がもとで大きくはれるようなものがあります。
左上腹部のしこり
左上腹部にこぶができるものに脾臓のはれものや、腎臓のこぶ、腎臓のがん、嚢胞腎があります。
中央部のしこり
腹の中央部にかたいこぶが触れ、それが脈といっしょに拍動している場合もあります。大動脈の動脈瘤です。
下腹部のしこり
下腹部にこぶの触れる病気として卵巣嚢腫や子宮筋腫があり、非常に大きくなることがあります。また、妊娠した子宮をこぶだと思ってあわてる人もいます。
右下腹部のしこり
右下腹部のこぶとしては、がんのほかに、虫垂炎のあとなどのこぶがありますが、がんとの区別がむずかしいようです。
右下腹部も左下腹部もがんができやすく、回盲部がん、直腸がんやS状結腸がんなどがあります。こぶのように見えても2〜3日で少なくなるのは便がたまっているだけの場合もあります。
部位不定のしこり
遊走腎といって腎臓が非常に動きやすく、腹であちこち位置を変え、これをこぶとして触れることがあったり、大便が腹にたまってこぶのように感じる場合など、全然心配のないものもあります。腎臓のこぶにもいろいろあり、手術すべきものと、手術の必要のないものとがあります。いずれにせよ、腹にしこりがあり、しかも痛みもないものには、がんなど悪性のものが多いのです。急いで医師の診察を受けるようにしてください。