腰の痛みは単に重だるいものから、身動きもできないものまでさまざまで、病気の種類や程度によって違います。
ちょっとした動作で激痛を起こし、身動きできなくなることがあります。いわゆる“ぎっくり腰”(急性腰痛症)です。腰の痛む側の下肢のうしろ側に沿って痛みがはしるようなら、まず腰椎椎間板ヘルニアの可能性があります。重症では下肢がしびれたりします。
動作を始めるとき痛み、あとで軽くなるようなときには、変形性腰椎症が考えられます。また、脊椎の骨質が減少し、骨粗鬆症では激しい腰痛が起こることがあり、さらに、腰椎圧迫骨折が考えられます。脊椎分離症の腰痛は、原因不明のいわゆる腰痛症と区別できないことがよくあります。第四腰椎が分離を伴わずに上がるのが無分離すべり症です。
中年以後の人にがんこな腰痛が続き、じっとしていても痛むようなら、がんの脊椎転移や骨髄腫、脊髄腫瘍、脊椎炎、限局性癒着性脊髄膜炎などの可能性があり、下肢の脱力、まひ、排尿困難、便秘などを伴うこともあります。
脊椎カリエスは、肺の結核から起こるものです。一般の化膿菌の感染を受けることもあります。また、強直性脊椎炎があり、成人男子に多い病気です。
脊柱が起立性を保持しているだけでも背筋ははたらいており、筋の疲労は鈍痛として感じられます。中腰など不自然な姿勢での作業はもとより、全身性疾患や肥満があって筋が疲労しやすくなっていれば、当然、腰痛となりえます。
また、神経筋疾患として総称されている一連の病気のなかには、腰部、臀部
[でんぶ]の筋萎縮と筋力低下をきたすものがあり、これも腰痛を起こすことがあります。