高血圧症は、血圧値によって表のように分類されます。通常収縮期血圧が140〜159、拡張期血圧が90〜99mmHgの範囲の高血圧を軽症高血圧と呼び、高血圧に基づく疾患の進展がもっともゆるやかな経過を示しますが、放置してよいということではありません。正常血圧と比べると、はっきりと脳卒中や心筋梗塞の危険が高く、10年、20年ののちにはこのような心血管疾患にかかりやすいことがわかっています。
しかも問題は、このような軽症高血圧の範囲に入る高血圧の人口がきわめて多いということです。たとえ疾患の発症率が、重症〜中等症の高血圧に比べて相対的に頻度が低いとはいえ、国全体からみると何百万何千万人という人たちがこれに相当するということになると、軽症高血圧といえども、このために心筋梗塞、脳卒中になる人の絶対数が無視するわけにはいかないほど大きくなります。
また、高血圧だけではなく、動脈硬化になりやすいほかの危険因子、たとえば、男性であること、喫煙、高コレステロール血症、低HDL血症、肥満、糖尿病、心筋梗塞・脳卒中の家族歴などが1つ、あるいは2つ3つともに存在していると、疾患の発症率は飛躍的に増大します。
したがって、軽症高血圧も一般療法や、それで不十分なら血圧降下薬で十分に管理する必要があるのです。