骨格
人体の骨格は、200あまりの骨が連結されてできています。個々の骨は細長いかたち(長管骨)や扁平
[へんぺい]なかたち(扁平骨)をしていますが、はたらきのうえで本質的な差があるわけではありません。
どの骨も1つの骨をとってみますと、外側から順に骨膜
[こつまく]と骨皮質
[こつひしつ]と骨髄
[こつずい]に区別することができます。
骨の中は空洞ではなく、海綿
[かいめん]のようなこまかな骨(骨梁
[こつりょう])構造があり、できるだけ少ない素材で、できるだけ強い外力に耐えられるようになっています。海綿骨を除いた骨髄は血液をつくるところです。
骨膜は骨の表面を包んでいる膜で、骨の栄養をつかさどるとともに、骨が折れたときには、新しく骨をつくるはたらきをします。
骨梁表面の細胞も骨をつくるはたらきをもっています。
骨端線
[こつたんせん]は軟骨でできており、子どもの骨が成長するのは、この部分の軟骨細胞が増殖して、骨になっていくためで、成人になれば骨端線は閉じて成長は停止します。
結局、骨格のはたらきとは、からだを支持し、造血機能をいとなみ、脳や脊髄など外力に弱い部分を保護することであり、また、からだのカルシウムの99%を貯蔵し、カルシウム代謝にも重要な役割を果たしています。
全身の骨には、それぞれ名前がついていますが、これらの関係については、人体図で理解してください。
→人体の構造図>
人体の構造図<骨格>
関節
骨と骨とは連結して関節を形成していますが、その連結のしかたには、ほとんど動かないものから、たいへんよく動くものまでさまざまです。
しかし、われわれが俗に関節といっているのは、よく動く関節のことで、これはあとに述べる滑膜に包まれているので、滑膜関節といいます。
関節の2つの骨が相対している骨の表面は、軟骨におおわれていて、きわめて平滑で、そのうえ弾力性があります。対向する骨は関節包(図の黒い部分)で連結しています。関節包の外側は丈夫な結合組織でできており、内側はやわらかで多少のひだのある滑膜からできています。
滑膜からは滑液が分泌されて内面をうるおし、関節面相互の摩擦を軽減しています。これは機械でいえば潤滑油
[じゅんかつゆ]に当たるものですが、さらに大切なことは、関節軟骨の栄養は、主として滑膜から分泌される滑液から供給されていることです。
関節包だけでは結合が不十分な場合には靭帯
[じんたい](ひもや帯のような組織)や筋肉などがこれを補強しています。
膝関節では、靭帯に加えて関節面の間に、クッションとなる半月と呼ばれる軟骨組織が介在しています。顎関節
[がくかんせつ]その他いくつかの関節にも、このようなクッションとなる軟骨組織(関節円板。ひざでは半月といいます)が入っています。
脊椎
脊椎は縦に並んで脊柱
[せきちゅう]を形成していますが、頸椎
[けいつい](7個)、胸椎(12個)、腰椎(5個)、仙椎(5個)、尾椎(3〜5個)から成り立っています。
脊椎骨の間には椎間板という軟骨があります。脊椎はこの軟骨のところで動くようになっていて、サンドイッチのように骨と椎間板が交互に並んでいます。
また脊髄
[せきずい]を取り囲んで保護しています。脊髄から末梢神経が出て、脊椎骨の間を通って脊柱の外へ出ています。
筋肉
筋肉には、骨について運動を起こす筋肉(横紋筋
[おうもんきん])と内臓の壁にある筋肉(平滑筋
[へいかつきん])とがありますが、ここでは骨についている筋肉のことを述べます。
骨についていて、運動に関係する筋肉にも、大別して2つの種類があります。
1つは手足を屈伸するような敏速な運動を起こす筋肉であり、もう1つは、たとえば立っているときに、骨格をその姿勢で支えている筋肉です。両者のはたらきがあってはじめて、日常生活の動作が円滑にできるのです。
筋肉にはいろいろなかたちをしたものがありますが、骨に付着している部分で光沢をもった黄白色をしているところがあります。この部分を腱
[けん]といいます。かかとの骨に付着しているアキレス腱などはその一例です。
腱が骨またはほかのかたい部分に接するところでは、これらの腱との摩擦を少なくするために、両者の間に、粘液を入れたふくろがあることがあります。これを滑液包
[かつえきほう]といいます。
また腱のあるものでは、腱を取り巻く腱鞘
[けんしょう]というトンネルの中を通っているものがあります。
1つ1つの筋は、これを支配している神経から刺激を受けると収縮し、刺激がなくなれば弛緩
[しかん](筋がゆるんで伸びること)する運動をしているにすぎませんが、日常おこなっている簡単な動作にしても多数の筋が複雑に関連しあってはじめて可能になるのです。
数えきれないほど多数の筋肉が、それぞれ目的とする運動に必要なだけ瞬間的に収縮や弛緩をするのですが、その精巧なことはおどろくべきものがあります。
反対に、この多数の筋の連合運動をつかさどっている中枢神経
[ちゅうすうしんけい]が病気におかされると、簡単な動作にも、大きな支障をきたすようになります。

手足の神経と血管
手や足へ行く神経は、脊髄から分かれます。手のおもな神経は、主として頸髄から分かれた神経が、頸部から肩に行くあいだに複雑に結び合って腕神経叢
[わんしんけいそう]を形成し、これが橈骨神経
[とうこつしんけい]、尺骨神経
[しゃっこつしんけい]と正中神経
[せいちゅうしんけい]に分かれて、手・指の運動と知覚を支配しているのです。下肢(股関節
[こかんせつ]から足まで)では大腿神経、閉鎖神経と坐骨神経
[ざこつしんけい]がおもなものですが、特にひざから下は、坐骨神経から分かれた脛骨神経
[けいこつしんけい]と総腓骨神経
[そうひこつしんけい]がおもなものです。
血管は、手では鎖骨下動脈
[さこつかどうみゃく]に続いて上腕動脈になり、これが2つに分かれて橈骨動脈と尺骨動脈となります。
下肢では大腿動脈に続いて膝窩動脈
[しっかどうみゃく]となり、これが2つに分かれて前脛骨動脈
[ぜんけいこつどうみゃく]と後脛骨動脈
[こうけいこつどうみゃく]となりますが、これらがおもなものです。