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老年痴呆[ろうねんちほう]

 老年痴呆には、2種類あります。初老期に発症するアルツハイマー病の病型を呈する老年痴呆は、神経細胞の変性が第一義的原因です。いっぽう、日本人では、脳血管性痴呆といって、脳虚血が原因で、そのために神経脱落症状が起こるタイプが大半を占めています。後者は、まだら痴呆といって、さまざまな機能の低下の程度が一様ではなく、あることはちゃんとできるのにほかの面では、ぼけがいちじるしいという特徴があります。脳卒中後に起こった痴呆は、この型に属します。痴呆は、正常な老人ぼけ、うつ病、軽度の意識障害と区別しなければならず、専門医の診断が必要です。老年痴呆の必須条件は、記銘・記憶障害です。すなわち、新しいことが覚えられない、過去の自分に関連した事柄や一般常識を想起できないといった障害が認められます。そして、もっと高次の抽象思考や判断力、正常な言語や動作能力もいちじるしい障害を受けます。これらの障害による日常生活、職業、社会生活が正常にいとなめないと、老年痴呆とされる十分な条件を備えていると診断されます。
 現在、老年痴呆に特効する薬は開発されていません。したがって、ケアが中心となります。老年痴呆の場合、知的機能は低下していますが、感情面では保持されているため、介護も単に高齢者を子ども・赤ちゃん扱いしたのではうまくいきません。高齢者の自尊心を尊重し、支持し、できるだけ自立できるところはその機能を発揮させるなどの介護者の態度が必要です。そのために環境は大切で、在宅介護が行きづまった場合は、短期・長期の介護施設を有効に利用すべきでしょう。
 現在各地に、老年者介護体制のネットワークが形成されつつあるので、公的機関(市町村の老人福祉課)、私的機関(地区の民生委員、介護支援センター)に相談するとよいでしょう。

→痴呆>アルツハイマー病

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