自立した老後
「不老長寿」とは、単に長生きすることではありません。それなら「長寿」だけでよいのです。「不老」、すなわち年はとっても老いはしない、それが真の意味するところです。では老いるとはどういうことでしょうか。アンケートをごらんください。ここには、人間が生きていくうえでの基本的な日常生活活動項目を示しています。若いうちは、こんなのはあたり前で、健康な人なら全員、自分でできることばかりです。老年期になると、このような簡単なことでさえ、人の助けを借りないとできなくなってしまうのです。
私たちが、10年前に当時の高知医科大学老年病学教室小沢利男教授の指導のもとで、高知県の山間のある町に在宅する65歳以上のお年寄り約1500人にこのアンケートを実施した結果が図に示してあります。各年代ごとに完全に独立して日常生活を送れる人のパーセントをあらわしています。その割合は、74歳まではほぼ90%でしたが、84歳までにほぼ70%に、そして85歳以上ではほぼ45%に減少していました。おどろくべきことといってよいと思うのですが、老年期の3つの区分にぴたりと一致していたのです。すなわち、「不老長寿」とは、年をとっても、1人で独立して生活を送りたいという人間の基本的な願望なのです。
寝たきりからスーパー老人まで
ここで老年期のもっとも大切な特徴が1つあらわれてきました。それは、個人差です。40歳の人を100人集めても、おたがいの差は一見はっきりしません。
ところが80歳の100人は、若い人に負けずに元気にふるまうスーパー老人から、はては寝たきりで排泄もおむつという施設入所者まで千差万別です。
80〜90歳の超高齢化社会の課題は、いかにして元気な高齢者の多い社会にすべきかということにつきるといっても過言ではありません。