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寿命はどこまで延びる

 高齢化社会とは

 21世紀には、人類がいまだかつて経験したことのない高齢化社会をむかえることが予想されています。65歳以上の高年齢人口は、現在17.3%であり、この比率は今後ますます大きくなって、西暦2015年には約25%となり、4人集まればそのうちの1人は、必ず65歳以上という社会になることがほぼ確実です。
 それでは、未来の人間は150歳とか200歳まで生きられるようになるのでしょうか。事実はそうではありません。図は、横軸に示した年齢に到達した人間が、何パーセント生存しているかを各年代ごとにあらわしたもので、1900年から1980年までの推移をみたものです。このグラフから、2つのことがあきらかとなります。
 まず第1に、最高年齢は、およそ100歳と、この1世紀の間変化していないということです。そして第2に、生存曲線が一貫して右上方にふくらんでいるという事実です。
 すなわち、人間は、神様から100歳という寿命をもらった生物(おそらく遺伝子でプログラムされている)なのであって、けっしてその寿命が年ごとに延びているわけではありません。大むかしでも、まれながら100歳まで生きた人は存在したでしょうし、これからの人類も100歳までは生きられるでしょうが、遺伝子を人工的に操作でもしない限り、それ以上は生きられないということです。
 はっきりいえることは、現代では、人は80〜100歳の超高齢に達するまで、ほとんど死なない、もし生存曲線の未来を推定すれば、90〜100歳で折れ曲がる直角に近い曲線になることが想像されます。いい換えると、90歳の人たちが同窓会を開いた場合ほとんど全員が出席できる事態が予想されるわけで、そして、それから数年後にほとんどの人が寿命を全うする、――これが高齢化社会の真の意味するところです。
 100歳の人の人数は、これからもどんどんふえていくでしょうが、だからといって寿命そのものが延びるわけではないのです。

生存率の推移

 何歳から老人か

 現代では、65歳の老人が85〜90歳の自分の親と同居しながら、その世話をしているという「高齢親子世帯」がしだいにふえてきています。このことは、高齢者世代の奥行きがどんどん深くなっていることのあらわれでもあります。ということは同時に、65歳以上を単に老人と十把一からげにかたづけられないことを示しています。
 すなわち、老年期を次の3期に分けることが実際的ではないかと現在考えられています。老年初期:65〜74歳、老年中期:75〜84歳、老年後期:85歳〜と区別します。この分けかたは、洋の東西を問わず普遍的で、また実際の日常の臨床感覚にもあっていると考えられます。
 たとえば、高齢者に対して手術するかどうかを決めるとき、現在75歳までなら中壮年者と同じように考えて手術療法に踏み切りますが、75歳以上だと個人の状態に応じて判断し、85歳以上だとまず手術療法は特別の場合を除いておこなわないといった治療方針が一般的です。

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