30 利尿薬


 どんな作用をする薬か?

腎(じん)臓または心臓の機能が低下し、体内の水分が貯留する各種の病態において、水分の排泄(はいせつ)を促進させることによって病態の改善をはかる作用をもつ薬です。つまり、腎臓から尿として排泄されない水分は、体内にたまって、むくみ(浮腫(ふしゅ))を生じますから、利尿薬によって、尿量を増やし、これらのむくみ(腎性(じんせい)浮腫、心性浮腫、肝性浮腫)をとるようにするわけです。

 どんな場合に使用するか?(適応症)

うっ血性心不全、高血圧症、腎疾患(ネフローゼ症候群、慢性腎不全、急性腎不全など)、腹水(ふくすい)のある肝硬変症、高カルシウム血症、腎・尿路結石(の予防)、特発性(とくはつせい)浮腫など。

 薬の種類と特徴

〔1〕チアジド系利尿薬=腎臓に直接はたらきかけて尿量を増やす腎内性利尿薬です。
〔2〕ループ系利尿薬=腎内性利尿薬
〔3〕カリウム保持性利尿薬=腎内性利尿薬
〔4〕炭酸脱水素抑制薬=腎臓以外の臓器にはたらきかけて、間接的に尿量を増やす腎外性利尿薬です。
〔5〕浸透圧利尿薬=腎臓で吸収されずに、腎臓内での浸透圧を増加させ、尿量を増やす利尿薬です。
〔6〕その他の利尿薬
〔7〕配合剤

 使用してはいけない場合

この系統の薬に過敏症がある患者は使用しないでください。

 使用上の注意

利尿薬を使用する場合は、血中尿素窒素、クレチアニン、血中および尿中電解質測定を定期的に行うことが、副作用を防止するうえからも重要です。


〔6〕その他の利尿薬

注意

キサンチン誘導体(【31】気管支拡張薬)、ジギタリス製剤(【24】強心薬)も、尿量を増すことによって心臓の負担を軽減させる薬です。


4.メトラゾン製剤

商品名

◆ノルメラン[錠](ノバルティスファーマ)

適応

1)本態性高血圧症。
2)心性浮腫(ふしゅ)、腎性浮腫、肝性(かんせい)浮腫。

注意

つぎの患者は服用しないでください。
1)無尿(むにょう)の患者。
2)急性腎不全(じんふぜん)の患者。
3)体液中のナトリウム・カリウムが明らかに減少している患者。

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