降圧薬(血圧降下薬)は、血圧を下げる作用をする薬です。各薬剤によって、つぎのようなはたらきをします。
1)血圧を上昇させるアンジオテンシンという物質がつくられないようにする薬(ACE阻害薬)。
2)細胞中にカルシウムイオンが流入するのを抑え、平滑筋の弛緩や心筋の収縮を抑える働きをする薬(カルシウム拮抗薬)。
3)血圧を上げるように作用する交感神経のはたらきを抑える薬(交感神経遮断薬:
交感神経中枢抑制薬、交感神経末梢(まっしょう)遮断薬、β(ベータ)‐遮断薬、ラウオルフィア製剤など)。
4)血管を拡張させて血圧を下げる薬(血管拡張性降圧薬)。
高血圧症(本態性、腎性(じんせい)など)。血圧を下げることによって、動脈硬化の進行を防ぎ、脳卒中、狭心症・心筋梗塞(しんきんこうそく)などの危険な合併症の誘発を防ぎます。
〔1〕利尿薬:【30】利尿薬を参照。
〔2〕ACE阻害薬
〔3〕カルシウム拮抗薬
〔4〕β‐遮断薬
〔5〕交感神経中枢抑制薬
〔6〕交感神経末梢遮断薬
〔7〕ラウオルフィア製剤
〔8〕血管拡張性降圧薬
高血圧治療には、薬物治療とともに、食塩摂取制限、運動、ストレスの解消、高脂血症の改善などの非薬物療法が必要です。
本態性高血圧症患者における降圧薬の選択順序としては、以下のように報告されています。
◆若年・中年高血圧患者の場合
(男 性) (女 性) 1.ACE阻害薬
2.β-遮断薬
3.カルシウム拮抗薬
4.利尿薬
1.利尿薬
2.ACE阻害薬
3.カルシウム拮抗薬
4.β-遮断薬
◆老年高血圧者の場合 猿田享楽男:治療、Vol.71:No5、1989
(男 性) (女 性) 1.カルシウム拮抗薬
2.ACE阻害薬
3.利尿薬
4.β-遮断薬
1.カルシウム拮抗薬
2.利尿薬
3.ACE阻害薬
4.β-遮断薬
副作用が多いので、降圧薬としては第1選択としては用いられません。β(ベータ)‐遮断薬などが使用できない場合などに用いられます。
1)高齢者。
2)冠動脈硬化症を合併している高血圧症がある患者。
3)うつ病・うつ状態およびその既往歴のある患者(特に自殺傾向のある患者)。
4)消化性潰瘍(かいよう)、潰瘍性大腸炎のある患者。
5)かつてラウオルフィアアルカロイドに過敏症があった患者。
6)電気ショックを受けている患者。
7)妊婦または妊娠している可能性のある女性。
1)抑うつ症状がおこる可能性があります。
2)パーキンソン症候群がおこる可能性があります。
3)倦怠感(けんたいかん)、鼻閉、徐脈、下痢、胃障害、眠け、めまい、性機能の低下がおこる可能性があります。
1)胃機能が低下した患者、うっ血性心不全がある患者が服用するときは、十分注意してください。
2)体内での吸収・代謝がゆるやかなので、増量するさいは十分期間をかけて行ってください。
ツイート高血圧症(本態性、腎性(じんせい)など)。