26 狭心症治療薬


 どんな作用をする薬か?

心臓をとりまく動脈(冠動脈)の内腔(ないくう)を拡張して血流を改善する作用、または心臓の動きを抑えて酸素の消費を少なくさせる作用をもつ薬です。「冠血管拡張薬」ともいいます。

 どんな場合に使用するか?(適応症)

狭心症(安定狭心症、不安定狭心症)。

 薬の種類

〔1〕β(ベータ)‐遮断薬
〔2〕硝酸薬
〔3〕カルシウム拮抗(きっこう)薬
〔4〕その他の冠血管拡張薬

 他の薬品・病気との関連

1)ACE阻害薬(【28】降圧薬)も、心不全の予防効果が認められているので併用されることがあります。
2)血小板凝集(けっしょうばんぎょうしゅう)作用、経口抗凝固薬(【22】抗血栓薬)も併用されることがあります。

 使用上の注意

狭心症の治療には、薬だけでなく、禁煙、高脂血症・糖尿病・高血圧症のコントロールなども必要です。


〔1〕β(ベータ)‐遮断薬

薬の特徴

1)作用の面からいえば、高血圧、頻脈性(ひんみゃくせい)不整脈、心肥大などの合併症のある患者にとって、より有用な薬です。
2)硝酸薬、カルシウム拮抗薬(きっこうやく)による副作用(反射性頻脈)を防止するという点からも有用な薬です。

適応

器質的狭窄(きょうさく)病変を有する労作性狭心症。

使用してはいけない場合

つぎの患者は使用できません。
1)気管支ぜんそく、気管支けいれんのおそれのある患者。
2)糖尿病ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者。
3)高度の徐脈(じょみゃく)、房室(ぼうしつ)ブロック、洞房(どうぼう)ブロックのある患者。
4)心原性ショックの患者。
5)肺高血圧による右心不全のある患者。
6)うっ血性心不全のある患者。
7)妊婦または妊娠している可能性のある女性。

副作用(その対策)

1)突然服用を中止すると、離脱症候群として、動悸(どうき)、狭心症や心筋梗塞(しんきんこうそく)の誘発などがみられます。もし服用を中止する場合は、期間をかけて、徐々に減量しながら中止してください。
2)心機能低下、中性脂肪増加、HDL(高比重リポたんぱく)の低下、インスリン感受性の悪化などの、作用があります。
3)【30】利尿薬、【27】血管拡張薬と併用する場合は、お互いの副作用が相殺(そうさい)されるので有用です。


5.塩酸ブクモロール製剤

商品名

◆ブクマロール[錠](三共)

適応

狭心症、頻脈性不整脈(洞性頻脈、上室性期外収縮、心室性期外収縮)。

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