消炎酵素薬


 どんな作用をする薬か?

からだのたんぱくなどの生体高分子を分解する酵素で、抗炎症作用をもつ薬です。

 どんな場合に使用するか?(適応症)

1)手術および外傷後の炎症性腫脹(しゅちょう)、血腫。
2)副鼻腔炎(ふくびくうえん)、乳房(にゅうぼう)うっ積、膀胱炎(ぼうこうえん)などの消炎。
3)気管支炎、気管支拡張症、肺結核、気管支ぜんそく、麻酔後の喀痰(かくたん)。

 薬の種類

〔1〕たんぱく分解酵素製剤
1.キモトリプシン製剤
2.ブロメライン製剤
3.プロナーゼ製剤
4.ストレプトキナーゼ・ストレプトドルナーゼ製剤(配合剤)
5.プロクターゼ・パンクレアチン製剤(配合剤)
6.セラペプターゼ製剤
7.セミアルカリプロテイナーゼ製剤
8.その他の配合剤
〔2〕多糖体分解酵素製剤
塩化リゾチーム製剤

 使用してはいけない場合

1)卵白アレルギーのある患者。
2)過敏症をおこした患者(アレルギー素因のある患者)。
3)妊婦または妊娠している可能性のある女性。

 慎重に使用する場合

1)血液凝固異常のある患者。
2)重篤な肝障害・腎(じん)障害のある患者。

 おもな副作用とその対策

1)食欲不振、吐きけ、嘔吐(おうと)などの消化器症状がでたときは、服用を中止し、必要ならば【38】消化性潰瘍薬(かいようやく)、【37】健胃消化薬を服用します。
2)注射薬の場合は、悪寒、発熱、アレルギー反応がおこる可能性があります。
3)【8】非ステロイド性抗炎症薬と比べて、抗炎症作用が弱く、鎮痛作用もありません。

 他の薬品・病気との関連

1)【22】抗血栓薬の経口抗凝固薬(ワルファリンカリウム)との併用で、抗凝固薬の作用が増強します。この場合は、服用を中止して、必要ならば【21】止血薬を使用します(塩化リゾチーム製剤は除く)。
2)感染症の場合は、抗生物質(【1】)と併用すると、抗生物質の病巣への移行をよくするので、併用すると効果的です。

 使用上の注意

この系統の薬については、体内での作用機序が解明されておらず、用量と効果の関係も必ずしも明らかでないので、漫然と使用するべきではありません。


〔1〕たんぱく分解酵素製剤


1.キモトリプシン製剤

特徴

消炎酵素製剤。

商品名

◆ゾノリジン眼科用(持田)

適応

水晶体全摘出時におけるチン帯の離断。

注意

つぎの患者は使用しないでください。
1)先天性白内障の患者。
2)硝子体圧の高い患者。
3)開放創のある患者。

ツイート

inserted by FC2 system