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カルシウムの吸収をよくするためには、たんぱく質や脂質があると効率がよくなります。この点ごまは、カルシウムのほかに脂質やたんぱく質をたくさん含んでいるので最適です。 ごまは、そのままでは消化がわるいので、よくする必要があります。ねっとりするくらいにすったのがごまバターです。少し多めにすっておき、作りおきしておくと便利です。パンに塗ったり、あえものなどに利用して毎日少しずつ食べましょう。
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カルシウムを摂取するのにいちばん簡単な方法は牛乳を飲むことです。牛乳にはカルシウムがたくさん含まれているばかりでなく、たんぱく質と乳糖のはたらきによって、吸収率がとてもよいからです。特に高齢の女性は、骨のカルシウムが血液の中で早く溶けてしまうので、男性より多めに牛乳を飲んでほしいものです。 牛乳みそ汁は、牛乳をだし汁とあわせたもので、みその風味が牛乳のにおいを消すため、牛乳が苦手なお年寄りにも飲みやすい味になります。
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緑黄色野菜にはカルシウムを多く含んでいるものがあります。小松菜はその代表格です。ほかに、ほうれん草、春菊、チンゲンサイ、菜の花、かぶの葉なども積極的にとりましょう。
特にごまあえにすれば、カルシウムがたっぷりとれます。前もって野菜に下味をつけておくと、ごまの味がよくなじみ、水っぽくなるのを防ぎます。
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骨に鬆(す)が入ったように、骨の組織がスカスカになって、骨がもろくなります。足の骨が折れたり腰の骨が砕けたりすると、歩けなくなり、そのまま寝たきりになるケースも少なくありません。 高齢の女性に多く、男性よりもかかりやすい原因は、女性ホルモンの分泌の変化です。女性ホルモンには、骨に蓄えられたカルシウムの排出をおさえるはたらきがあります。若いときには盛んに分泌されていたこのホルモンが、閉経後は分泌がとまり、カルシウムが流出されやすくなります。また、高齢者はカルシウムを吸収する力も弱くなります。カルシウムの吸収を促すビタミンDのはたらきが衰えてくるのが原因です。
カルシウムをとるのに最も理想的な食品が牛乳です。カルシウムの1日の所要量は600mgとされています。これは牛乳で約3本分に相当します。お年寄りは吸収がわるいので、これよりももっと必要で800〜900mgはとりたいものです。
●骨のスープには酢を
骨を煮こんだカルシウムたっぷりのスープに酢を数滴加えると、カルシウムの吸収がよくなる。
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カルシウムの多い食品は、牛乳を筆頭に、チーズ、ヨーグルト、干しエビ、煮干し、しらす干し、まる干し、わかさぎ、ひじき(乾燥)、干しワカメ、ごま、大豆、アーモンド、ひまわりの種子、ブラジルナッツ、切り干しだいこん、小松菜などです。 これらのカルシウム源は、一度にたくさん食べるより、何回かに分けてとったほうが吸収率が高くなります。 牛乳2本を1回に飲むのと、時間をあけて1本ずつ飲むのでは、後者のほうがカルシウムの吸収量が100mg近く多いというデータもあります。したがって、チビチビと少しずつ摂取するのがよいのです。 こんなときに便利なのが、ちりめんじゃこやナッツ類です。いつでも口にできるように食卓に出しておき、少しずつつまみ食いするとよいでしょう。
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カルシウムの吸収をさまたげる意外な食べものは食物繊維です。食物繊維をとりすぎると、腸管の中でカルシウムと強く結合して、粘膜細胞からの吸収を阻害します。食物繊維は、成人病対策には必要ですが、量はほどほどにしましょう。また、アルコールも腸の粘膜にはたらきかけて、直接カルシウムの吸収をおさえるために、体内のカルシウムが不足して、骨が弱くなります。酒の飲みすぎには注意しましょう。
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筋肉は使わないと弱くなりますが、骨も同じです。宇宙飛行士は、運動せずに無重力状態におかれるため、骨からカルシウムが抜け出してしまうことがわかっています。 運動は、骨へのカルシウムの沈着を促します。ゲートボールとまでいかなくても、散歩でもよく、ともかく体を動かすことです。寝たきりの人は、手足をぐるぐる回すなどして動かしてください。自分で動かせなかったら、家族の人に手伝ってもらい、骨を少しでも動かしましょう。少々痛くても、がまんして骨を使うことが重要です。
また紫外線にあたることは、ビタミンDをつくるうえで必要です。家にこもりがちのお年寄りは日光不足です。せめて1時間は日にあたってほしいものです。日あたりのわるい部屋で寝たきりのお年寄りは、つとめてビタミンDの多い食品、たとえばマグロの脂身(あぶらみ)、イワシ、カツオ、ブリ、サンマ、サバ、レバー、卵黄、バター、さつま揚げ、つみれなどをとりましょう。
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