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鉄分はビタミンCや葉酸が加わると、その吸収率がアップします。ほうれん草は鉄分が豊富なうえ、ビタミンCや葉酸も含むので、鉄欠乏性貧血にはうってつけの食べものです。 中国では、ほうれん草には止血の効果があり、血液成分のもとである葉緑素を補う食品として貧血防止にすすめられています。貧血の人は常食するのがよく、特にほうれん草のごま油炒めがおすすめです。
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コンブをはじめとする海藻類は、ヘモグロビン(血色素)を形成するのに必要な鉄や銅を大変多く含んでいます。ひじきやワカメ、青のりも同様です。特にコンブは、煮ものをはじめ、だしをとるのに利用され、常食しやすいのでおすすめです。おぼろコンブやきざみコンブも積極的にとりましょう。 ただし、胃腸が冷えて下痢をおこしやすいタイプの人は多食しないようにしましょう。
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プルーンは、ミネラルとビタミンを理想的なバランスで含んだ栄養価の高い食べものです。特にミネラルのなかでは鉄分を、ビタミンのなかでは造血に欠かせないB群を豊富に含んでいるため、貧血には理想的な食べものです。またプルーンには、鉄分の吸収を促進する効果もあります。プルーンを毎日10個ずつ食べましょう。ただし下痢をしやすい人は多食してはいけません。
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カルシウムをたっぷり含んだきくらげは、血液を浄化する作用があるため、貧血によく効くほか、動脈硬化症、高血圧症、婦人科系疾患などにも効果的です。なかでも白きくらげは薬効が数段すぐれています。貧血には白きくらげの甘酢を食べるとよいでしょう。また黒きくらげでも十分な薬効は得られます。黒きくらげとナツメ各30gを600mlの水で半量になるまで煎じ、これを1日3回に分けて、あたためて飲むとよいでしょう。
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キンシン菜にはほうれん草の約10倍もの鉄分が含まれており、造血作用があることから、貧血の治療薬として積極的に利用されています。常食すると、血液の循環がよくなって、顔色もよくなります。 乾燥したキンシン菜は水につけてもどしてから料理します。このもどし水には鉄分が溶けているので捨てずに、スープなどの料理に活用するとよいでしょう。生のキンシン菜は中毒をおこすことがあるので、使ってはいけません。
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レバーには鉄分が多く含まれています。特に動物性食品に含まれている鉄は吸収率が高く、とりわけレバーは約70%とトップです。鉄分がいちばん多いのが豚レバー(100g中13mg)
で、以下鶏レバー(同9mg)、牛レバー(同4mg)となっています。1回分の目安は60g。鉄欠乏性貧血の人は積極的に食べたいものです。なお、レバーには造血作用のあるビタミンB12も豊富に含まれており、悪性貧血にも有効です。
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ローヤルゼリーには造血作用があり、貧血によく効きます。特に月経不順による貧血、産後におこる貧血で精神不安を伴うようなときには、1日300〜600mgを服用すると効果があります。 しその葉にも鉄分が豊富に含まれているため、貧血に効果的です。うめぼしにしその葉を巻いて、毎日食べるとよいでしょう。 しそ酒を飲むのもよい方法です。青じその葉200gを手でちぎり、1.8リットルのホワイトリカーに3か月ほど漬けこみます。飲むときは布でこし、うすめて、朝昼晩にさかずき1杯飲みます。 しその花も同様の効果があります。しその穂がまだ花のうちに摘み、つくだ煮にしたものを食べるとよいでしょう。タカノツメを入れて煮ると、よりおいしく食べられます。 クマザサエキスは造血作用のほか、末梢(まっしょう)の血管を拡張するはたらきがあることから、全身のすみずみにまで酸素を送って、貧血を防ぎます。クマザサエキスを適量のお湯でうすめ、常飲するとよいでしょう。 ドクダミも貧血に有効です。陰干しにした野性のドクダミ20gを1.8リットルの水で半量になるまで煎じます。これを毎食前に湯のみ1杯飲むと効きます。
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貧血は、血液の成分である赤血球や、その中に含まれているヘモグロビンという赤い色素の量が減少した状態です。 このヘモグロビンの主成分が鉄です。そのため体内の鉄分が不足すると貧血をまねくわけです。 ヘモグロビンは、体内で酸素の運搬役を果たしているので、数が減ると顔色が青くなり、体がだるくなるほか、頭痛、めまい、どうき、息切れなども生じやすくなります。 鉄不足はいうまでもなく食生活が大きな原因です。鉄は吸収されにくい栄養素で、摂取した鉄の10%程度しか吸収されません。過激なダイエットや偏食で鉄の量が不足すると、たちまち貧血状態になります。また胃酸の分泌が低下していると、鉄の吸収がわるくなります。 出血による鉄不足もあります。特に女性は月経による出血で鉄の排泄が多くなります。特に50歳以上の女性の貧血は、その2/3が子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)が原因といわれています。 また妊娠期は、母体と成長する胎児の赤血球をつくるために、鉄をよけいにとる必要があります。 貧血のときは、病院で鉄剤をもらうこともできますが、胃に負担がかかり、下痢をおこしやすくなります。それよりも日ごろから、かたよらない食事を心がけ、鉄分を十分にとることが大切です。
●貧血と脳貧血はちがう 脳貧血は血液には異常がなく、脳への血行がさまたげられた状態をいう。ぶどう酒や水を飲めば治る。
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鉄の吸収をよくするには、同時に動物性たんぱく質を摂取するとよく、特に牛肉と鶏肉が鉄の吸収作用をよくすることが知られています。そのほか、ビタミンC、クエン酸、葉酸、銅、乳酸も鉄吸収を促進します。 鉄分は、動物性食品に含まれる鉄のほうが吸収率が高く、とりわけ肉や魚の赤身の濃いものが鉄供給源としてすぐれています。レバーや血合(ちあい)の多いカツオ、イワシ、サンマはおすすめです。そのほか、内臓まで食べられる小魚、カキやアサリなどの貝類も鉄分が豊富です。意外に思われるかもしれませんが、大豆にも鉄分がたくさん含まれています。うずらの卵や鶏卵も同様です。 また、これらの調理に鉄なべを使うと一層効果的です。なべの鉄が少しずつ溶け出すため、知らずに鉄を摂取できます。また、高齢者は、胃酸の分泌を高める食品(柑橘類、酢、とうがらし、わさび、こしょうなど)をとると、鉄の吸収がよくなります。
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鉄分とお茶はライバルどうし。せっかくの鉄分が半減する
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鉄不足を予防するには、食事中あるいは食事の前後に、できるだけ紅茶やコーヒー、緑茶を飲まないようにすることです。これらに含まれているタンニンという物質が、せっかく食事でとった鉄分の吸収を非常にわるくしてしまうからです。 スウェーデンのホールバーグ博士らの報告によれば、ハンバーガーとコーヒーをいっしょにとった場合、鉄吸収は35%抑制され、紅茶の場合では62%もが抑制されてしまったということです。貧血の人は、食後のお茶にも気を配ることが大切です。
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●体内に存在する鉄の量は? 約4〜5g。これは、およそ短い釘1本分に相当する。
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