胃液の分泌がふえたり、粘膜が弱くなって、胃や十二指腸の内壁がただれたり、傷ついたりする病気です。原因は、不規則な食生活、食習慣、ストレスなどです。 代表的な症状は、上腹部の痛みです。ほかに、胸やけ、胃のもたれを感じたり、潰瘍(かいよう)から出血があると、便が黒くなったり、吐血、貧血などもみられます。 胃潰瘍、十二指腸潰瘍の症状で最も特徴的なのは、空腹時や夜間、それに食後2〜3時間たったころにおこるみぞおちの痛みです。同時に、胃が締めつけられるような不快感、胸やけなどの症状があらわれます。 潰瘍が進んで、出血するようになると、その血がまじった便は、コールタールのように黒光りします。胃からの出血で、吐血することもあります。このときの血は、コーヒーカスのような色です。出血の量が多くなれば、貧血もおこります。 潰瘍からの出血のサインがあったら、すぐに医師の診断と治療を受けます。重大な合併症がおこる可能性があるからです。 胃潰瘍や十二指腸潰瘍が穿孔(せんこう:胃や十二指腸の壁に孔<あな>があくこと)すると、腹膜炎をおこします。突然激しい腹痛におそわれ、おなかがかたくなります。 孔があいても、ほかの臓器でふさがれた状態を穿通(せんつう)といいます。穿通は症状がわかりにくく痛みもはっきりしませんが、背中に痛みが散るような感じがします。 また、吐きけ、嘔吐(おうと)があったり、みぞおちのあたりが張ったような、もたれるような感じがするときは、潰瘍が、胃と十二指腸のあいだの幽門部(ゆうもんぶ)にでき、食べものが通らなくなる幽門狭窄(ゆうもんきょうさく)が考えられます。 潰瘍は、進行してガンになることはほとんどありませんが、初期の症状は、よく似ています。必ず精密検査と診断を受けましょう。 治療は、ほとんどは手術しなくても、H2ブロッカーという薬で治ります。ただし、薬をやめると再発しやすくなるので、長期間にわたって服用することになります。 日常の食生活の注意は、消化のよいものを中心に、刺激物をひかえ、腹七分めの食事をゆっくりと、規則正しくとることです。 潰瘍は、治りやすい反面、再発もしやすい病気です。食事以外にも、アルコールやたばこを制限したり、十分な睡眠をとり、適度な運動、ストレス解消を心がけましょう。