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卵は、たんぱく質などバランスのよい高栄養がとれ、汗を出して熱を下げます。白身には、のどを潤し、せきを鎮める作用もあります。
卵酒は、かぜのひきはじめの微熱によく効きます。ただし、高い熱にはかえって悪化をまねくことがあるので注意しましょう。また、卵のアレルギーのある人、酒の弱い人にはむきません。
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ジアスターゼなど消化酵素が豊富で、消化促進や胃を強くする作用がよく知られていますが、せきどめやたんを出しやすくするはたらきもあります。 せき、たんやのどの痛み、のどの渇きには、だいこん湯がおすすめです。コップに1/4くらいのだいこんおろしに、おろししょうがを少々加え、熱湯を注いであたたかいうちに飲みます。ハチミツで甘くしたり、レモンのしぼり汁の酸みで飲みやすくしてもよいでしょう。
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にらの強いにおいのもとになるアリルという物質が、自律神経(じりつしんけい)を刺激し、冷えた胃腸や内臓の調子を整えます。ビタミンA・B・C、カルシウム、カリウム、鉄も多く、かぜのときの栄養補給に最適です。血液の循環をよくするはたらきもあります。 にら粥かにら雑炊にして食べると、体があたたまるうえ、体の冷えからくる胃腸の痛みにも効果があります。 ただし、アレルギー体質の人、下痢をしやすい人は、食べすぎないよう注意が必要です。
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ねぎの白い部分は、漢方では葱白(そうはく)といい、汗を出して熱を下げ、体をあたためます。ただし、熱があって、すでに汗をかいている場合には使えません。 ねぎの白いところをみじん切りにしてみそをまぜ、熱湯を注いだスープや、しょうがのしぼり汁を加えたお粥やスープを飲みます。
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かぜの頭痛、せき、鼻づまり、冷えなどに効果があります。辛み成分には殺菌力もあります。 せき、たんには、しょうが汁にハチミツを入れてあたためたしょうが湯を飲みます。 親指大ぐらいのしょうがのおろし汁に熱湯を注ぎ、ハチミツは好みにあわせて入れます。
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うめぼしの黒焼きは、せきどめや解熱に効果があります。 黒焼きは、うめぼしを焼き網かフライパンで真っ黒になるまで弱火であぶります。 黒焼きのうめぼし2個を器に入れて黒砂糖5gを加え、カップ半分くらいの熱湯をさして、うわずみをあたたかいうちに飲みます。
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かぜのひきはじめにクズ
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薬効があるのは、地下30cmより深い根の部分です。ヒゲ根をとって洗い、乾燥させたものを漢方では葛根(かっこん)といい、煎じて飲んだり、生薬の葛根湯(かっこんとう)に主成分として配合されます。 クズには、発汗作用、解熱作用があります。また、かぜの初期症状の頭痛、肩や首すじのこりをやわらげたり、痛みどめのはたらきもあります。 市販のクズ粉でつくるクズ湯も、滋養があり、体をあたためるので、かぜのひきはじめや回復期に効果があります。
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独特の香りのある花に薬効があり、体をあたためます。春から夏にかけて、白い小さな花をつけます。咲ききったものから順に、30cmほどの長さで茎ごと刈りとり、花だけを採って陰干しにします。 カミツレ茶の煎じ方は、乾燥した花5〜7gを茶こしに入れ、熱湯を回しかけるだけで十分です。これを1日3回食間にあたたかいうちに飲みます。汗を出し、体温を下げる効果があります。市販のティーバッグになったカミツレもあります。
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よく熟したみかんの皮をとり、陰干しや日干しにしたものを陳皮(ちんぴ)といって、漢方薬としてよく処方されます。
せきやたんを鎮めるはたらきがあり、かぜのときには、陳皮の煎じ汁がよく効きます。果肉を食べたり、ジュースにして飲むと、水分やビタミンCの補給、食欲増進に役立ちます。
果肉は体を冷やす性質があるので、冷え症、腎炎(じんえん)や膀胱炎(ぼうこうえん)になりやすい人は、多食するのはひかえましょう。
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地上部分に薬効があり、葉や茎の生薬を忍冬(にんどう)、花の生薬を金銀花(きんぎんか)といいます。かぜには金銀花の煎じ汁を飲むと解熱作用があり、効果的です。 開花期は4〜5月で、花の色が白から黄色に変色します。管状の花の細いほうを吸うと、甘いミツの味がします。このころの花を摘み、風通しのよい場所で陰干しにします。1回の分量として、乾燥した金銀花2〜3gを200mlの水で半量まで煎じて、食後に服用します。
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主成分は、さわやかな香りのもとでもあるメントールで、漢方薬、現代医薬のどちらにも処方されます。 ハッカ湯は、汗を出して熱を下げる作用のほか、頭痛をおさえたり、胃をじょうぶにする薬効もあります。葉、茎ともに、乾燥したものを使いますが、かぜのときの熱や頭痛には、葉を使います。 乾燥した葉を細かくきざみ、これを茶さじ1ほど湯のみに入れ、熱湯を注いでしばらくおき、うわずみを飲みます。
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なしやりんごには、熱によるのどの渇きをいやす効果があります。なしはしぼり汁、りんごはすりおろして食べるとよいでしょう。胸がすっきりして、食欲増進にもつながります。 ビタミンCが豊富なきんかんは、ハチミツ煮にするとのどの痛みに効果的です。 玄米は、バランスのよい栄養がとれますが、消化がわるいので、やわらかい玄米スープやお粥にして、よくかんで食べます。しょうがやねぎを加えると、体があたたまります。 アロエを使うときは、3〜4cmの葉をすりおろし、お湯をさして飲むと、のどの痛みやせきに効きます。ハチミツやレモンで飲みやすくします。 しその葉は、煎じたものが寒けや熱に効果的です。しょうがやみかんの皮といっしょに煎じて、あたたかいうちに飲みます。しその実にも薬効があり、せきどめの作用がすぐれています。 生薬の煎じ薬では、オオバコやナンテンが、せきを鎮めるはたらきをもっています。オオバコの種子5〜10gを1日量として、200mlの水で半量に煎じます。ナンテンは乾燥させた果実5〜10gを1日量として煎じて飲みます。
発熱については、発熱の項も参照。
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かぜは、ウイルスの感染によっておこることがほとんどです。ウイルスが体内に入りこんだとき、疲労、睡眠不足、栄養不足、寒さなどで、体力が落ち、抵抗力がない場合に発病します。 初期の症状は、くしゃみ、鼻汁、寒け、発熱、頭痛などです。この段階で適切な手当をして、早めに治してしまいましょう。 手当の基本は、栄養をとること、あたたかくして休むことです。食欲がないとき、胃腸が弱っているときは、消化がよく、食べやすいものを工夫します。 からだをあたためる食べもの、細胞の抵抗力を高めるビタミンA・Cを含むものを積極的にとりましょう。 何日も熱が下がらない、せきやたんがひどい、胸が苦しいなどの症状があるときは、医師の診断が必要です。 市販のかぜ薬は、症状をやわらげることはできますが、ウイルスに対する抵抗力をつけるには、安静、保温、栄養補給が欠かせません。
●かぜは万病のもと
かぜは、長びくと体力が落ち、多くの合併症をまねく。肺炎から死に至ることもあるので、治療は早めに。
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ビタミンCには、ウイルスの感染を防ごうとする体のはたらきを強める作用があります。また、ウイルスそのものを殺す力や、寒さに対する抵抗力をつけるはたらきもあります。 さらに、ウイルスが破壊した細胞や組織を回復したり、薬の副作用の防止にも役立つので、かぜの予防はもとより、ひきはじめから回復期まで効果をあらわします。 かぜをひいて熱が出ると、体内のビタミンCが減ります。特に、白血球に含まれるビタミンCの濃度が減少します。そこで、積極的にビタミンCをとる必要があるのです。 ビタミンCは、柑橘類(かんきつるい)、パイナップル、いちごなどのくだものや、野菜ではパセリやピーマンなどの緑黄色野菜に多く含まれます。 加熱すると破壊されるので、生のジュースにして飲むのが、手軽で効果的です。
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食べものも、体をあたためるものを選んで食べるようにします。体を冷やす性質の食べもののなかには、のどや口の渇きをとったり、熱を下げる効果をもつものもありますが、悪寒(おかん)があるようなかぜの初期にはむきません。 体を冷やす食べものには、トマト、なす、きゅうり、とうがん、すいか、柿、ほうれん草、白菜、セロリ、そばなどがあります。 貝類のアサリ、シジミ、カキも体を冷やすので避けましょう。
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