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かぜの熱によく効くねぎは、せきどめにも効果があります。ねぎの栄養部分は青い葉のほうに多く、白い部分にはビタミンAが含まれていませんが薬効があり、かぜやせき、たんきりなどに効力を発揮します。
ねぎの白い部分だけを使う、ねぎのハチミツ煮をスプーン1杯ずつ、1日に2回食べると、せきを鎮め、たんをきる効果があります。湿布薬として使ってもせきを鎮めます。
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しその葉と実にはせきどめ、鎮静、鎮痛などの薬効があります。かぜをひいて、発熱と寒けを伴うせきには、しそとしょうがの煎じ汁が効きます。 しその葉10枚にしょうが5gを加え、300mlの水で半量になるまで煎じて飲みます。または、しその葉10枚に陳皮(ちんぴ:みかんの皮を乾燥させたもの)としょうがを3gずつ加え、600mlの水で煎じます。これを3回に分けて、あたためて飲みます。
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熱があって、せきがとまらず、たんもきれないときや、のどに痛みや渇きがあるときには、なしのしぼり汁がよく効きます。なしをすりおろし、ガーゼでしぼった汁を飲みます。 これに、しょうがのしぼり汁とハチミツを加えてあたためるホットジュースもせきとたんに効きます。 うす切りにしたなし1個を冷水につけ、半日ほどおいて、その汁ごと飲むと口の渇きがおさまります。 胃が冷えやすく下痢ぎみの人、冷え症の人、出産後には、食べすぎないよう注意しましょう。
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せきどめには、れんこん湯が効果的です。 まず、れんこんを皮つきのまま乾燥させます。これをうす切りにし、水で煎じます。これに、だいこんあめを加えて、好みの甘さにしたものがれんこん湯です。1日3回飲むと、ひどいせきもおさまります。 また、れんこんを生のまますりおろして、そのしぼり汁を飲むのも効果的です。この場合は、きれいに泥を洗い流して、皮をむかずにすりおろします。皮つきのままのほうが薬効があるからです。
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激しくせきこむことがつづくと、胸が痛くなったり、体力も著しく消耗します。せきのせいで眠れなくなったり、食欲不振に陥ることもあります。
だいこんは、消化を促進する以外に、肺の熱をとるはたらきがあるため、かぜによるせきやたんを鎮めるのに最適です。だいこんの薬効成分を上手にとり出して飲むには、だいこんあめが効果的です。せきが出るときにさかずき1杯飲むか、飲みにくいときは、お湯で割って飲みます。身近な材料で、一晩でできるので便利です。
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種子にも全草にも薬効がある多年草で、道ばたでもよくみかけます。生薬名は、全草を車前草(しゃぜんそう)、種子を車前子(しゃぜんし)といい、せきどめ、たんきりのほか、下痢どめ、むくみのあるときの利尿などの効果もあります。全草は夏、種子は秋に採り、日干しにして薬用にします。全草を煎じた汁には、気道の粘膜分泌を活発にする作用があることがわかっています。 1日分として、乾燥した種子または全草10gを、200mlの水で煎じ、半量まで煮つめたものを3回に分け、食間に服用します。
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親指ほどの大きさの実を、砂糖で煮たり漬けたりしたものが食用に使われます。薬用としても、せき、のどの痛みに効きます。 よく熟したきんかん10個をまるごときざみ、400mlの水と砂糖少々で、沸騰するまで煮ます。この煮汁を、あたたかいうちに飲みます。何回かに分け、あたためなおして飲んでもよいでしょう。 熟したきんかん4個と、ナンテンの実10個をよく砕いて、200mlの水で煎じ、砂糖小さじ1を加えたものにも、同じような効果があります。
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しそは、実、葉ともに陰干しにしたものが薬用に使われ、汗を出し、せきを鎮めます。乾燥した葉の粉末茶さじ1を、お湯か水で飲みます。 煎じて飲むと効果があるものには、ナンテンの実、サクラの樹皮があります。ナンテンの実は、よく熟したものを日干しにしておき、1日分として10gを600mlの水といっしょにとろ火にかけ、カスを除きながら半量まで煮つめます。これを3回に分け、食間に飲みます。 サクラの樹皮は6〜7月に採り、外側のかたい皮と緑色の部分をとり除いたものを日干しにします。1日分は5〜10gで、煎じ方、服用の仕方は、ナンテンの実と同じです。 ナツメには、炎症をやわらげる作用があります。実は生でも食べられますが、日干しにしたものを蒸し、さらに干したものは大棗(たいそう)という生薬として使われます。 ナツメ酒もせき、たんに効果があります。35度の焼酎1.8リットルに、生の実なら900g、大棗の場合は300gを入れて、冷暗所で3か月ほどねかせます。そのままストレートでも、また、お湯や水で割ったり、砂糖やハチミツで好みの味にして飲んでもよいでしょう。
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乾性のせきが出て、たんは少ないけれど粘りがあってきれにくいときは、なし、だいこん、ハチミツ、白きくらげ、ゆり根、ビワの葉がよく効きます。ビワの葉は、葉の裏の毛をたわしで落としながら洗い、陰干しにしたものを手でもんで細かくしておきます。これに熱湯を注いで、お茶にして飲みます。 湿性のせき、たんの場合は、みかんの皮を乾燥させた陳皮(ちんぴ)、ゆずが適しています。 体に熱があり、たんが黄緑色がかっていたり、熱をおびている状態を熱性といいます。こんなときは、だいこん、とうがん、なし、海藻類、ビワの葉、柿などの体を冷やす作用のある食べものをとります。だいこんは、煮るよりも、すりおろして生で食べます。 体が冷えて、寒けがしたり、たんが透明で冷たい感じのときは、寒性の状態です。効果のある食べものは、にんにく、しょうが、ねぎ、陳皮、ぎんなん、くるみなどです。しょうがは、すりおろしたもの少々に熱湯を注いで飲むと、体があたたまります。ぎんなんは、せきどめのほか、ぜんそくにも効きます。生のものは、食べすぎるとめまいやひきつけなどの中毒をおこすこともあります。必ず火を通したものを、1日に大人なら10個、子供は5個を限度としましょう。
●柿はたんの薬
柿はたんきりの薬といわれる。生のまま食べれば、たんをきり、のどの渇きにも効果的という。
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せきは、気道が何らかの刺激を受けたときにおこる、防御的な運動です。たんは、細菌やごみが分泌物とまじったものです。せきは、乾いたせき、湿ったせきの2つに分けられます。 乾いたせきは、からぜきといわれ、コンコン、カンカンといった感じで、たんはほとんど出ません。かぜや気管支炎、肺炎の初期にみられます。乾いたせきが長くつづくときは、肺結核の可能性もあります。 湿ったせきは、ゴホンゴホン、ゼイゼイといい、たんを伴います。乾いたせきの症状が進んで、湿ったせきに変わることもよくあります。肺の病気、気管支拡張症、心臓弁膜症の場合にもみられます。 せきが激しいときや、発作的におこったとき、たんに血がまじったり、緑や褐色のたんが出るときは、できるだけ早く医師の診断を受けましょう。また、胸の痛み、頭痛、腹痛、発熱などの症状にも注意します。 家庭では体力を消耗しないように、栄養のある食事を心がけます。
●せきに砂糖湯
子供がせきこむときは、少量の砂糖を入れた湯冷ましを飲ませるとよい。せきを鎮め、水分の補給にもなる。
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豚肉は、食べすぎるとたんが出やすくなります。たんのからみやすい人や、熱があるときには、食べないほうが無難です。 ナマコもたんが多い人は、多食しないようにします。 ぜんそくの人や、せきが出やすい人は、ブリの刺身を食べすぎると、発熱、たん、嘔吐(おうと)などの症状が出ることがあります。素焼きか塩焼きにしたものを、少量食べましょう。 ほかに、もち米やタケノコも、ぜんそくやせきを悪化させます。
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