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パセリを食べずに残してしまう人が多いようですが、パセリの香りはピネン、アピオールという精油成分によるもので、この成分は胃に適度な刺激をあたえて消化をよくし、食欲を増進させるはたらきがあります。また魚や肉の毒を消す作用もあるので、積極的にとるようにしたいものです。胃が冷えやすい人や、体力が衰えて食欲不振の人は、毎日、料理に添えて少しずつ食べるようにしましょう。ただし、汗っかき、わきがの人は多食をひかえます。
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しょうがの独特の香りは料理に風味をあたえ、食欲を増進させるはたらきをもっています。また、しょうがの辛み成分であるジンゲロンやショウガオールなどは、すぐれた殺菌力をもち、吐きけをおさえ、食欲を増進させる作用があります。胃がつかえて食が進まないときは、生のしょうがのうす切り2〜3切れを食べると食欲が出ます。ただし痔の人や、目が充血している人はひかえましょう。
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みかんの皮、種子、根のうち、いちばん薬効があるのは皮です。皮は胃のはたらきを高め、食べもののとどこおりをなくすはたらきにすぐれており、食欲不振の治療薬として昔から活用されてきました。 漢方では、みかんの皮を乾燥させたものを橘皮(きっぴ)、この古いものを陳皮(ちんぴ)といいます。皮は古いものほど薬効があるので、食欲がないときは、この陳皮を煎じた汁を飲みます。また陳皮をすって粉末にしたもの1〜2gを毎食前に飲んでもよいでしょう。
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●陳皮(ちんぴ)とみかんのちがい
陳皮は体をあたためるが、みかんは体を冷やす作用がある。こたつに入ってみかんを食べすぎないように。
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しその独特の香りは胃液の分泌を促し、食欲を増進させるほか、胃や大腸、小腸のはたらきをよくする作用があります。 また、神経症や不眠症を治す作用もあるので、精神的ストレスによって食欲不振になっている人には、ぴったりの野菜といえます。 しその葉の煎じ汁が効果的です。胃がわるくて食欲がない人にもよく効きます。
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ヤマモモの濃い紅紫色の果実は、見るからに食欲をそそるものですが、薬効があるのは樹皮の部分です。乾燥させた樹皮は、揚梅皮(ようばいひ)という生薬名で薬用として利用されてきました。 皮に含まれている成分には、食欲を増進させる作用があるほか、胃腸病からくる腹痛や下痢をとめたり、利尿作用もあります。 生の樹皮をすって粉末にしたものを服用すると効果的です。
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神経性食欲不振症は拒食症ともよばれます。女性に多く、原因となる病気もないのに、食事をほとんどとらなくなり、極度にやせてしまうという病気です。 この病気の判断基準は次のとおりです。
1 標準体重の20%以上やせている
2 不食(食べない)、大食い、隠れ食いなど、食行動に異常がある 3 体重の増加に対して極端な恐怖をもつなど、体重や体型について歪んだ認識をしている 4 発症年齢30歳以下 5 女性ならば無月経になる 6 やせる原因となる病気がない
このような症状は、大人の女性になりたくない、親離れしたくないという気持ちと、自立したいと思う気持ちの葛藤からおこるものとみられています。また、やせ願望が強すぎることからおこるケースもふえています。 この病気は、ほかの病気とちがって、患者に食べたいという意思がないので、食事療法だけでなく心理療法が必要となります。ほうっておくと死に至ることもありますので、早めに医師の診断をあおぎましょう。
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食欲は心身の不調に影響されやすい。日常生活で工夫を
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食欲は、ちょっとした体の変調や精神的ストレスなどの影響を受けやすいものです。どうも食欲がないと感じたら、睡眠不足や運動不足になっていないか、あるいは悩みや心配事を抱えていないかなど、日常生活をふりかえって、チェックしてみることが必要です。 特に現代では、精神的ストレスによる食欲不振がふえています。この場合、ストレスの原因を除くことがいちばんだということはいうまでもありません。心身の休養をとる、気分を切りかえるなどの工夫を行なうことが大切です。 ただし食欲不振は、胃炎、肝炎、膵炎(すいえん)、胆のう炎、腎臓病、ガン、神経性食欲不振症など病気の一症状の場合もありますので、注意が必要です。原因不明の食欲不振が長くつづく場合は、医師の診断を受けましょう。 いずれにしろ、人間は前向きに生きることを考えれば、自然に食欲が出るものです。食欲を増進させる食品を献立に生かすなどして、治す努力をすることが大切です。
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