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吐きけを伴う下痢に効く梅肉エキス
うめのいちばんの特徴は、強力な抗菌作用があることです。慢性の下痢をはじめ、細菌性の下痢に高い効果を示します。中国の研究によれば、うめの煎じ汁は大腸菌やチフス菌、コレラ菌などの病原菌に有効とされています。また、すぐれた整腸作用をもち、下痢どめをはじめ、食欲不振、食べものや薬物の中毒など多くの効力があります。
吐きけを伴う下痢には
梅肉エキス
が効果的です。梅肉エキスはそのほか食あたりや腹痛にも効きます。
また、うめの実を塩漬けにして作るうめ酢も、下痢をはじめ、食あたりや嘔吐(おうと)、腹痛などに効果的です。
うめの半熟果をあぶり、乾燥させた烏梅(うばい)またはうめぼし5〜10個を、300mlの水で半量になるまで煎じます。この汁も下痢どめになります。
梅肉エキスは青うめから作りますが、未成熟の青うめを生のまま食べると中毒をおこすことがあるので、注意しましょう。
強い殺菌力のあるハチミツ緑茶
強い殺菌力をもつハチミツは、中国医学では、チフス、腸炎、細菌性の下痢などに広く用いられます。また肝臓疾患や動脈硬化症にも効果があります。腸炎や細菌性の下痢には、ハチミツ緑茶がとても効果的です。緑茶のタンニンにも抗菌作用があり、便をかたくするはたらきもあります。緑茶15gを濃いめに煮出し、これにハチミツ65gを加えて1日1回服用します。
冷えを伴う下痢にはやまいもを常食
やまいもは、滋養、強壮、はれもの、しもやけ、せき、健胃、整腸など広く用いられますが、中国では、これに加えて頻尿(ひんにょう)、夜間排尿過多、糖尿病、おりもの、精神倦怠(せいしんけんたい)などの治療にも利用されています。冷え症で下痢をしやすい人は、やまいもを常食するとよいでしょう。この場合は、生より、すりおろしたものをお粥にしたり(
お粥の作り方
の項も参照)、スープにしたりしてあたためて食べたほうが効果的です。
細菌性の下痢にはにんにくのしぼり汁
にんにくには細菌に対する抗菌作用があり、腸のはたらきを正常にする効果があります。腸に対する刺激はにんにくの量によって異なります。大量に食べると腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を抑制するのです。したがって下痢の人は少し多めに食べます。ただし空腹時の生食は避けます。
過敏性腸症候群にはハスの実だんご
ハスの実は漢方では蓮子(れんし)とよばれ、精神安定作用、滋養・強壮作用があります。また、心臓、腎臓、胃腸のはたらきを補います。下痢は通常、食べすぎや冷たいものをとりすぎたときなどにおこりますが、最近ではストレスによる過敏性腸症候群がふえ、これといった原因もないのに下痢をする人が多いようです。このように精神的なものがひきがねになっておこる下痢には、ハスの実だんごが効果的です。ただし、下痢が治って、便がコロコロするようになったら、蓮子を多食してはいけません。
消化不良に効く大麦の黒焼き
大麦は古くから「五穀の長」とよばれ、おもに消化不良や、腸のはたらきを活発にする効用があります。特に、消化不良による下痢にすぐれた効果が期待できます。殻つきのままの大麦の実を黒焼きにして、重湯(おもゆ)で服用します。便が健康的な色になるまで常飲するとよいでしょう。また、子供の下痢には、大麦で作った寒晒粉(かんざらしこ)とクズ粉をまぜたものスプーン1杯を、白湯(さゆ)で飲ませます。ただし、胃腸が冷えて下痢をしている人、母乳の出のわるい女性は多食を避けましょう。
昔からの妙薬、ゲンノショウコの煎じ汁
ゲンノショウコは、ドクダミと同様、入手しやすいポピュラーな薬草です。古くから下痢どめ、腹痛の妙薬として知られ、「現の証拠」からついた名前は、そのすぐれた効果をあらわしています。主成分はタンニン酸で、この成分に含まれる腸をひき締めるはたらきと、防腐作用により、下痢どめに役立ちます。
慢性の下痢や、原因がよくわからずに下痢をおこしやすい人は
ゲンノショウコの煎じ汁
を常飲するとよいでしょう。
古来からの民間薬、ヨモギのしぼり汁
ヨモギはキク科の多年草で、葉を陰干しにして薬用に利用します。日本では、端午の節句にショウブといっしょに入浴剤として使われたり、お灸のモグサの材料になったりと、昔から広く利用されてきました。
ヨモギの葉は漢方では艾葉(がいよう)とよばれ、下痢どめ、止血、鎮痛などに効用があります。しぶり腹の下痢には、しぼり汁をさかずき1杯服用します。または、春から夏にかけて採取したヨモギの葉を陰干しにしたもの20gを煎じて飲むのもよいでしょう。
苦いけど効くリンドウの根の粉末
食欲不振や消化不良、腹痛のあるときに効きます。秋の彼岸のころに採取した根を十分に乾燥させて粉末にします。
またこれは、乳幼児の下痢が慢性的につづき、乳を吐いて、栄養状態がわるくなり、発育にも悪影響を及ぼすようなときに効果的です。かなり苦みがきついのですが、粉末ですから、煎じ汁よりは飲みやすいでしょう。
まず水分補給を。必ずあたたかくして飲むこと
突然おこる下痢は、そのほとんどが一過性のもので、いくつかの原因が考えられます。高熱や腹痛を伴うことが多く、下痢の症状も激しいので、医師の受診が必要です。
暴飲暴食による消化不良も原因のひとつです。寝冷えや冷たいものをとりすぎたために下痢をおこすこともあります。また、試験前など精神的な緊張も原因になります。
慢性的な下痢は、症状はひどくありませんが、長くつづきます。体重が急激に減ったり、貧血を伴うようなら、内臓疾患の可能性もあるため、一度検査を受けたほうがよいでしょう。
一過性の下痢なら、絶食と水分の補給をし、しばらく食事に注意すれば、数日でおさまります。冷たいものは腸を刺激しますから、水分(煎じ汁も)は必ずあたたかくして飲みます。
下痢どめの薬の服用は厳禁です。腸の内容物を早く出すための自己防衛的な下痢もあるからです。
●
便は大腸でできる
胃の内容物が十二指腸、小腸を経てもまだ便ではない。大腸で水分や細菌を吸収して、はじめて便となる。
下痢にも便秘にも効くビフィズス菌で快腸!
健康時の腸内にはビフィズス菌が圧倒的に多くすみついていますが、下痢や便秘のときには、ビフィズス菌が減って大腸菌や腸球菌といった有害菌がふえています。
このことから、腸のぐあいがわるいときには、ビフィズス菌製剤を投与して腸内細菌のバランスを正常にもどすことが行なわれています。
効果を上げるためには、1日あたり10億個のビフィズス菌が必要とされています。
不思議なことに、市販薬のビフィズス菌製剤より、機能性食品として売られているビフィズス菌末のほうがビフィズス菌が大量に含まれているものもあります。そのほかビフィズス菌入り乳製品のなかにも100億以上を含むものが出回っています。ビフィズス菌は大量に摂取しても副作用の心配がありませんから、安心して利用できます。
●
快便とはどんな便?
黄土色で太さはバナナ状。かたくもやわらかくもなく、悪臭がない。ビフィズス菌が多いとこの便が出る。
お粥は老人や胃の弱い人をはじめ、ダイエットにもおすすめ。
ここでは、基本的な作り方とコツを紹介しましょう。
まず米を洗います。洗う際、手早く水を捨てないとぬか臭くなるので注意します。
洗ったあとは、ざるに上げ、1時間ほどおいて、しっかり水けをきることも大切です。
お粥を作るためのなべは土なべ、それも行平(ゆきひら)土なべが理想的です。
熱がやんわり回るため、長時間弱火で炊くお粥に最適です。ない場合は厚手なべでもかまいません。
炊き方も大事です。なべに米と水を入れ、火にかけて沸騰したら弱火にし、あとは吹きこぼれないように数回に分けて差し水をしながら、ゆっくりコトコト炊きます。途中でかきまぜると、粘りが出て、のりのようになってまずくなるので、十分気をつけます。
体調が思わしくないときは、薬粥にするとよいでしょう。お粥を前述のように炊いたあとで、症状に効く材料をすばやく入れて2〜3度煮立たせます。こうして薬効エキスがしみ出るのを待ってから食べます。
忙しい人や、1回ごとにわざわざ作るのが面倒な人は、多めに作り、1回分ずつ冷凍しておき、食べるときに解凍するとよいでしょう。
●薬粥にあうおもな材料と薬効
材料
薬効
あずき
リウマチ
クコ
冷え症
ごぼう
脳卒中
サネブトナツメ
更年期障害
ハトムギ
糖尿病
やまいも
スタミナ不足
緑豆
夏バテ
その他のおすすめ食品・山野草
食事もとれないような下痢には、りんごをすりおろしたものを食べるとよいでしょう。皮ごとすりおろすのがコツです。
慢性の下痢には、しその葉を常食します。
また、オキナグサの葉と茎を乾燥させたもの3gにキハダ2gを加えて煎じた汁を飲んでも効きます。
下痢のときは、保温と腸にやさしい食事を
●
安静にする
腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)をおさえるためには、安静がいちばんです。
●
腹部を保温する
カイロや腹巻きなどで、おなかをあたためると楽になります。
●
ひどい下痢は絶食と水分補給を
下痢がひどいときには1〜2日絶食すると、自然に治癒力がはたらいて回復を早めます。ただし水分を十分に補給しないと脱水症状をひきおこす可能性があるため、あたたかい番茶やスープ、重湯(おもゆ)などの流動食をとり、便の様子をみながらお粥、ふつう食へと移していきます。
軽い下痢の場合には、絶食をする必要はありません。数日間スープや重湯ですごします。
なお果汁や砂糖湯など甘みのあるものは、体内で発酵しやすく、そのためガスを生じて便をやわらかくするのでひかえます。例外はペクチンを含むりんごジュースで、腸の内容物をねっとりとさせて下痢どめになります。
●
下痢を悪化させる食べものに注意
1
.繊維のかたい食品は、消化がわるいうえに腸管を刺激して下痢を悪化させてしまいます。タケノコやごぼうは避けます。また、皮のかたい豆やすじ肉もよくありません。
2
.アルコールやコーヒー、炭酸飲料、香辛料などの刺激物はなるべくさけます。
3
.かぼちゃ、栗や豆など甘みの強いものは腸管内で発酵し、ガスを発生させます。このガスが腸を刺激するのでなるべくひかえます。
4
.冷たい飲みものや食べものは下痢をまねきます。冷たいものは、ゆっくりとよくかんで食べましょう。これは、消化をよくするのに加えて、食べものを口腔内で体温に近づけ、刺激をやわらげるという利点もあるのです。
5
.アレルギーをおこしやすい食品は下痢の原因のひとつになります。牛乳や乳製品、卵、魚介類などの食べものはアレルギーをおこしやすいので、アレルゲンになっていないかどうか調べてみるとよいでしょう。なかでも牛乳は牛乳不耐症(ふたいしょう)で下痢をおこす場合もあるので注意が必要です。
6
.油脂類は便のすべりぐあいを増すのでひかえます。
●
回復期にはたんぱく質を
たんぱく質は吸収されて便をかたくする性質があります。脂質が少なく、繊維のやわらかい鶏のささみや、白身魚、豆腐、卵、あたためた牛乳やヨーグルト(ビフィズス菌入りがよい)などがおすすめです。
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